日本各地が揺れていた安政年間

 前回(8月9日)のブログでは、安政年間に発生した南海トラフと首都直下地震が、現代に発生した場合の資産被害想定の話をしました。
 実は、安政年間の1854年〜1858年は、日本各地で大きな地震があったと記録されています。宇津徳治「地震活動総説」によれば、以下の地震がありました。
 1854年7月9日 マグニチュード (M) 7.3 伊賀上野地震, 死1,600人
 1854年8月28日 M6.5 八戸・三戸
 1854年12月23日 M8.4 安政東海地震, 死2000人
 1854年12月24日 M8.4 安政南海地震, 死1000s人
 1854年12月26日 M7.4 伊予西部・豊後
 1855年3月18日 M6.8 飛騨, 死12人
 1855年9月13日 M7.3 陸前
 1855年11月7日 M7.3 尾張・遠江(余震?), 死some
 1855年11月11日 M6.9 安政江戸地震, 死7,444人
 1856年8月23日 M7.5 三陸地方・松前, 死37人
 1856年11月4日 M6.3 江戸・立川・所沢,
 1857年7月14日 M6.3 駿河, 死8人
 1857年10月12日 M7.3 伊予・安芸, 死some
 1858年4月9日 M7.1 飛騨・越中・加賀[飛越地震], 死430人
 1858年7月8日 M7.3 青森・八戸
 1859年1月5日 M6.2 石見
 1859年10月4日 M6.3 石見(周布)
 さらに、1856年8月25日「安政3年の台風」で江戸は猛烈な暴風と高潮により、死者10万人ともいわれています。

 これら安政年間の1854年〜1858年(4年間)のことをまとめると、以下のようになります。
 ・M7クラス以上の地震は12回
 ・南海トラフ巨大地震の11ヶ月後に江戸直下地震
 ・江戸直下地震の8ヶ月後に三陸沖で大地震
 ・江戸直下地震の9ヶ月後に江戸に台風直撃
 これを現代に置き換えると、
 ・南海トラフ巨大地震の11ヶ月後に首都直下地震、その9ヶ月後に三陸で大地震、そして、その2日後には東京で風水害ということになります。それ以外にも南海トラフ巨大地震から安政3年の台風(東京で風水害)までの1年8ヶ月の間に、愛媛・大分でM7.4、岐阜飛騨でM6.8、宮城でM7.3、首都直下地震の4日前には愛知・静岡でM7.3 と、顕著な地震が多発したことになります。

 今現在、九州から関東にかけての太平洋側を中心に大雨による災害が各地で発生しています。そして、大雨が降りやすい状況は今週も続くとの予報で、さらなる被害が懸念されます。大雨災害に地震など他の災害が重なるといった、複数の災害が同時に発生する複合災害への対策も真剣に考えなくてはなりません。

2021年08月16日