あらためてSDGsを考える

 Sustainable Development Goals (SDGs) は、2015年9月に国連で採択された国際的な目標で、2030年までに目指すべき17のゴールと169のターゲットを定めています。日本語では「持続可能な開発目標」などと訳されています。
 誰一人取り残さない、地球上のすべての人が幸せになれる社会を目標にしていますが、おそらくは誰一人として、2030年までに人類がこの目標に到達できるとは思っていないでしょう。

 理想を掲げ、努力することは良いことだと思います。ただし、その努力が理想を実現するために、本当に正しい努力なのか、と時折省みることも必要です。

 SDGsが示すゴールのなかに「気候変動に具体的な対策を」があります。気候変動とは地球温暖化のことで、その原因は人類が排出する二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスである、というものです。
 二酸化炭素の排出削減に向けて、これまで世界各国は様々な対策(努力)をしてきました。しかし、大気中の二酸化炭素は増える一方です。それだけではありません。増え方が以前よりも早くなっているのです。(2025年1月11日付ブログ『温暖化対策(CO2削減)の成果を検証』を参照)

 誤った努力は、やった感はあるかもしれませんが、結果が伴いません。いますぐやめるべきです。

 そもそも、Sustainable Development(持続可能な開発)って何でしょう?
 1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」が出した報告書「Our Common Future」で、持続可能な開発とは、「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」と定義しています。
(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/wssd/wssd.html)

 SDGs前文には、「これらの目標とターゲットは互いにつながり分けられないものであり、持続可能な開発の3つの側面、つまり、「経済」と「社会」と「環境」のバランスを保つものです」とあります。
(https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/preamble/)

 二酸化炭素の上昇速度が以前よりも早くなっている現実は、このバランスが取れていないことを意味します。経済面の発展(Development)が優先されているのです。

 太陽光発電や電気自動車、さらにAIなどの新たな技術により、経済発展しながら環境も改善できる、といったスタンスが、これまでの努力の姿ではないでしょうか。
 そして、減らないどころか、より早く二酸化炭素が増えている現実は、このスタンスが誤った努力だったことを証明しているのです。

 SDGsの理想を追い求めるなら、まずはこの誤りを素直に認め、別の努力を考えるべきです。

2025年11月01日