MOTTAINAI はどこへ

 「勿体(もったい)ない」という言葉は、日本人であれば普通に知っている言葉です。
 もともとは、仏教用語の「勿体(もったい)」から来ていると言われています。「勿体」は本来、「物のあるべき姿、本来持つ価値、本質的なもの」を意味していました。使えるものが捨てられたり、働けるものがその能力を発揮しないでいたりして、惜しい感じが「勿体ない」になります。
(https://kotobank.jp/word//勿体無い-645881#w-2135005)
(https://www.npo-mottai.org/news/2020-07-17-npo-mottai)

 2005年、環境分野の活動家およびアフリカ人女性として史上初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんが来日しました。
 その際、感銘を受けた日本語が「もったいない」でした。
 環境3R + Respect(尊敬の念) = 「もったいない」として解釈され、マータイさんは環境を守る世界共通語として「MOTTAINAI」広めることを提唱しました。
(https://www.mottainai.info/)
* 環境3R: Reduce(ゴミ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)

 このMOTTAINAI は、SDGs の目標12「つくる責任 つかう責任」に関連しているといわれています。食品ロスの削減や、リサイクル・リユースの促進が、MOTTAINAI に相当するという考えです。
 しかし、MOTTAINAI と目標12「つくる責任 つかう責任」は、似て非なるもの、というのが私の意見です。

 SDGs の目標12「つくる責任 つかう責任」には、「MOTTAINAI」に込められた Respect(尊敬の念) がありません。
 マータイさんは、残念ながら、2011年9月25日にケニア・ナイロビの病院で亡くなりました。
 亡くなる3週間前、病床でマータイさんは毎日新聞のインタビューに応じ、「私たちが呼吸する空気、飲み水、食べ物、すべて、自然からの預かり物です。これこそがMOTTAINAI精神の最も大切な価値なのです」と語ったそうです。
(https://www.mottainai.info/jp/about/)

 この「自然からの預かり物」という概念が、SDGs の目標12「つくる責任 つかう責任」からは、少なくとも私には、読み取れないのです。
 あくまで主観的な意見ですが、Sustainable Development: 持続可能な開発(発展) という言葉からは、自然へのRespect(尊敬の念)を感じ取ることができません。であるから、MOTTAINAI という言葉が使われなくなってしまったのではないか、と推測しています。

2025年11月08日