脱化石燃料、そもそも可能なのか?
ブラジルで開催されていた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議 (COP30) は、22日に成果文書を採択して閉幕しました。
温室効果ガスの排出削減の取り組みを加速させることで合意したものの、具体策として焦点となっていた「化石燃料からの脱却」には直接言及しなかった、とのことです。
"温室ガス排出削減を加速 「脱化石燃料」言及せず―COP30" 時事通信 内政部2025年11月23日09時45分配信
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2025112300007&g=int)
上記の記事によりますと、「議長国ブラジルは当初、「化石燃料からの脱却」を草案に盛り込んでいたが、産油国などの反対を受けて文言を削除した」とあります。
化石燃料からの脱却とは、石炭・石油・天然ガス等を一切使わない、ということなのでしょうか?
議長国ブラジルに限らず、脱化石燃料を唱える人は多数います。しかし、そのような人であっても、おそらく全員が化石燃料の恩恵に授かって生活しているのではないでしょうか?
スマートフォンも、電気自動車も、太陽光や風力でさえも、化石燃料が使われています。
電線やケーブルを覆っている合成樹脂は石油由来です。他にもいろいろな部品が石油由来です。
また、製造段階においても化石燃料が使われています。
例えば、太陽光パネルに必要なシリコンを製造する際、天然の珪石(けいせき)から金属シリコンを取り出す必要があります。この過程は炭素熱還元法(Carbothermic Reduction)と呼ばれ、化石燃料由来の材料が直接化学反応として使用されます。
(例えば、https://www.try-it.jp/chapters-9578/sections-9579/lessons-9645/)
さらに、製造段階における電力も、その多くはまだ化石燃料に頼っています。
脱化石燃料を進めるために、化石燃料が使われているのが現実です。
であるならば、直接化石燃料を使った方が燃料効率が良いのでは?といった疑問が浮かんでくるでしょう。
脱化石燃料のために、化石燃料を大量に使う。これがこれまで推進してきた地球温暖化対策の現実の姿です。
人類は地球温暖化対策の方向性を誤っているように思えてなりません。