2025年7月のうわさで報道すべきこととは
本ブログでも取り上げた2025年7月大地震のうわさは、NHKも取り上げています。
"「日本で7月に…」根拠なき“災害予言”が拡散 専門家の見解は" 2025年4月26日 15時26分
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250426/k10014789211000.html)
このタイトルを見たとき、何となく違和感を覚えました。その違和感の正体は「根拠なき災害予言」の「根拠なき」でした。
本文中では、ちゃんと「科学的根拠のない」と、「科学的」と説明しているので問題なかったのですが、そもそも月日まで特定した地震予知は、(少なくとも現時点では)不可能です。科学的根拠のある地震予知、がそもそも存在しないのです。
予言(うわさ)を信じる人たちは、科学者が言うことよりも予言者の言うことを信じていると考えられます。したがって、科学の実力に疑念を抱いている人に「科学的根拠がない」と説得しようとしても無理でしょう。
では、どのように説明(説得)すればよいのでしょうか。
私なら、一般的な説明であれば、過去の事例(地震流言)を提示し、予言された地震は起きなかったという事実を示します。そして、発生日が特定されていることや、うわさの出どころがもっともらしい権威(過去の災害を言い当てたとする予言者など)であることなどが、過去の地震流言と同じであることを示します。
ただし、今回の2025年7月5日の災害予言については、上記に示した説明とは異なる方法を用います。
今回のうわさの根源は、時系列で考えれば、たつき諒さんの書籍『私が見た未来 完全版』とするのが自然です。この書籍は表紙に「大災害は2011年3月」と書かれた『私が見た未来』(1999年刊行)の復刻版です。『私が見た未来』は作者がみた夢日記で、「大災害は2011年3月」とあったことから注目され、復刻版が刊行されました。
そして、『私が見た未来 完全版』に「本当の大災難は2025年7月」とあり、これがNHKも取り上げたうわさの根拠になります。
残念なのは、うわさの出発点となるものがわかっているにも関わらず、NHKはそこを取り上げていなかったことです。
NHKの記事では「複数の風水師がYouTubeなどで、日本で大災難が起きる、などとして渡航を控えるよう呼びかけている」ことは示しています。また、「この“うわさ”、最初は日本で、都市伝説を紹介するインフルエンサーがYouTubeなどで取り上げたことなどで拡散」したことも示しています。
しかし、たつき諒さんのことも『私が見た未来』のことも記事には書かれていませんでした。
ちなみに毎日新聞は、たつき諒さんに取材しています。
(https://mainichi.jp/articles/20250514/k00/00m/040/129000c)
(https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20250514k0000m040128000c)
NHKは以前にも、コロナワクチンで苦しんだ人の話をコロナ自体で苦しんでいる人の話にすり替えたという罪を犯しています。
(「コロナで家族を失ったように放送」 NHKのVTRに遺族が反発 朝日新聞 2023年5月16日 16時00分 https://www.asahi.com/articles/ASR5J555FR5JULZU00K.html)
今回も、シナリオありきの番組作りをし、それに加えて、報道しない自由を行使したのかと勘繰ってしまいます。
時系列で考えれば、都市伝説を紹介するインフルエンサーも風水師も、『私が見た未来 完全版』の話題性に便乗したものと考えられます。そして、インフルエンサーも風水師もそれを(自分に注目が集まるように)より不安を煽るようなアレンジしたのでしょう、と私ならコメントします。
また、予言の具体的な内容については、『私が見た未来 完全版』では震源地を「日本とフィリピンの中間あたりの海底」としています。ということは、仮にうわさを信じるのであれば、日本に渡航を控えている香港の人たちも、実は他人事ではない、ことを付け加えます。
さらに、作者のたつき諒さんの許可を得て、2025年7月の後の世界についても言及できれば、より良い報道内容になったでしょう。