これって地震雲?
11月25日に熊本県で、震度5強を観測する地震が発生しました。
その2日後となる27日に、以下の記事が配信されました。
"「これって地震雲?」「空の色が不気味」予兆となる気象現象は存在する? 東気象予報士が解説" 2025/11/27(木) 19:28配信
(https://x.com/FBS_NEWS5/status/1993994840984703129)
記事の内容は、タイトルにあるようにFBS福岡放送で天気コーナーを担当している東気象予報士が、地震雲について解説しているものです。東気象予報士は、「結論から言いますと、地震雲や地震の予兆となる気象現象は存在しません。」と、地震雲の存在を否定しています。
この記事はYahoo!ニュースでも配信され、12月1日時点で83件のコメントが寄せられていました。
「おすすめ順」で最初にでてきたコメントは、東気象予報士とは逆の意見、地震雲の存在を信じる内容でした。
その後も4件、あわせて上位5件が地震雲の存在に対して肯定的な意見でした。
肯定的な意見は、自らの体験も基づくもの、科学的に証明されていないだけ、人によっては科学的に証明できないだけ、と主張しています。
そのような肯定意見のなかに、「未科学」といった言葉を使ったコメントがありました。
未科学については、「現象そのものは客観的に実在するが、在来の科学的手法や理論では合理的・実証的に説明することができないもの」といった説明があります(関西サイエンスフォーラム, 1998)。また、「漢方や鍼灸など東洋医学を説明する際に、東洋医学は科学になりうる医学(未科学の医学)」 といった説明もあります(森和, 1995)。
地震雲、信じている人にとってそれは「現象そのものは客観的に実在する」のですが、「現象そのものは客観的に実在する」ことが客観的に示されていないのが実状です。自らが見た地震前の奇妙な雲、は主観的な地震雲であって、客観的に地震雲が実在することを示したことにはなりません。「それって、あなたの感想ですよね」と、一蹴されてしまいます。
未科学とは、未だ科学になっていない状態ですから、方向性としては科学へ向かっているはずです。
また、科学的事実とは再現性のある客観的な事実です。
地震雲が未科学の領域にあるとするなら、地震雲の存在を信じている方々には、是非とも科学として認められるように、再現性のある客観的な事実を示す努力をお願いしたいです。
ちなみに、地震雲が「科学的に証明できないだけ」であるなら、科学へ向かうことを放棄しているわけですから、地震雲は未科学にもなりません。