またイワシの大量漂着

 先月末に、北海道でまたイワシが大量漂着したとのニュースがありました。
“また“イワシの大群”が漂着 港が一面埋め尽くされる 海で何が?北海道で相次ぐ大量出現 「コンブ作業」へ影響懸念する声も” 北海道文化放送 2024年5月29日 水曜 午後7:30
(https://www.fnn.jp/articles/-/704528)

 記事によれば、5月19日朝に日高のえりも町の港で大量のイワシが浮かんでいた(大量死)とのことです。
 また、北海道では2023年の冬から2024年にかけてイワシの大量漂着が相次ぎました。函館市では2023年12月、小樽市銭函では2024年3月に大量のイワシが漂着しました。

 2023年12月函館市のイワシ漂着は、2024年1月1日に発生した能登半島地震の前兆だったのではないか、といった話もありました。
(2024年02月19日付「能登半島地震の前兆情報は?」参照;https://dfir-lab.info/posts/post64.html)

 仮に、2023年12月のイワシ大量漂着が、能登半島地震の前兆だった場合、今回も大地震の発生が危惧されます。
 しかし、小樽市の事例(2024年3月)の後に、同様の大地震は発生しませんでした。また、今回(5月19日)からすでに1ヶ月となります。能登半島地震は、函館のイワシ大量漂着から15日後でした。

 ある異常(この場合はイワシ大量漂着)から地震発生までの時間(リードタイム)を長くとれば、地震と結びつけられる事例は増えます。しかし、リードタイムが長くなればなるほど、一般的に両者の結びつきは弱くなると考えられます。

 気象を例に考えてみます。一般的に洪水は直前の大雨が原因で発生します。ある日に大雨が降り、その後は晴天で1ヶ月後に洪水があった場合、1ヶ月前の大雨が原因とは考えないでしょう。この場合、上流のダムが決壊したなど、大雨とは別に原因があると普通は考えます。

 ちなみに、能登半島と函館は500km以上離れています。
 時間と同様に、距離が離れていると、一般的に両者の結びつきは弱くなると考えられます。

 先ほどの洪水を例に考えてみます。極端な例になりますが、能登半島で大雨が降り、翌日函館で洪水があったとします。能登半島の大雨を函館の洪水の原因と考える人は、まずいないでしょう。

 たかだか数十年の人生経験で、自然界のある出来事を「異常」と決めつけるのは早計です。ましてや、そうした出来事を何でもかんでも大地震と結びつけようとするのは、なおさら問題があります。冷静になって考えるべきです。

2024年06月19日