南海トラフ地震臨時情報に対しおおむね好意的というが、、、

 "「空振りでも公表して」41% 「どんな情報も提供を」32% 南海トラフ地震臨時情報に人々は好意的な受け止め 東大教授らが調査"
(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1358879?display=1)
 この記事は、東京大学総合防災情報研究センターの関谷直也教授の研究室が実施したインターネットによるアンケート調査の結果を紹介しています。

<以下、記事からの引用>
 情報を得た手段は「テレビ」が84.6%で、「ホームページなどのインターネット」の25.5%でした。
 情報を知った後にどんな行動をとったかについては、「テレビから情報を得た」が62.5%、「インターネットから情報を得た」が34.4%でした。「特に何も行動をとらなかった」は21%、「水や食料などの備蓄を確認した」は19.7%でした。
 臨時情報への受け止めについては、最も多かったのが「空振りしても構わないので、南海トラフ地震に関連する情報は公表してほしい」の41%、「命にかかわる情報なので、どんな情報も提供してほしい」の32%でした。一方、「確率が低い情報は出さないでほしい」という意見は10.9%でした。
<引用終わり>

 アンケート調査の場合、対象者がどのような人か?は大切な要素になります。
 ある集団(この場合は全国民か?)の傾向を知るには、全員を調査対象にする(全数調査)のが理想ですが、それが困難な場合もあります。今回の調査は対象が全国民(か?)ですから、全数調査は現実的に不可能です。
 そこで、集団から何人かを抽出する標本調査が行われます。

 問題はその標本(調査対象)がどのように選ばれたか?です。
 標本調査では、基本的に無作為抽出が行われますが、この記事によれば、その点の情報がありません。インターネットによる調査と書かれているだけです。

 ホームページなどで告知してインターネット調査をした場合、標本が偏る場合があります。
 今回の場合で言うなら、比較的に防災に関心の高い人が多く答えている可能性があります。そうなると、好意的な傾向といった結果は、真の数字よりも高く出てしまっている可能性が否定できなくなります。

 東京大学総合防災情報研究センターのホームページを確認しましたが、今回のアンケート調査に関する記載を見つけることができませんでした。なので、どのような調査をしたのかについては、詳しい報告を待たなければなりません。

 さて、以下のような見出しの記事もありました。
 "南海トラフ「注意」、2割が防災行動取らず 認知度は向上"
(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE162Z90W4A810C2000000/)

 こちらの記事は、防災行動を取らなかった2割の人に注目しています。
 このように、同じアンケート調査の結果を紹介する記事であっても、メディアによって捉え方が違っていることにも注意が必要です。

2024年08月21日