南海トラフ地震臨時情報への対応指針の策定手順

 先月の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)への対応についての検証が進められています。

 "南海トラフ臨時情報1か月 統一的な対応指針 求める声" 09月09日18時51分
(https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20240909/2000087482.html)
では、専門家や自治体の代表などで作る南海トラフ地震対策の国の作業部会で行われた会議について報道しています。

 この記事によりますと、東海、近畿、四国、九州のうち防災対策の推進地域が含まれる10県からの提言には、以下のようなことが示されたとあります。
(1) 情報の意味の丁寧な周知
(2) 複数の県にまたがる事業者もあることからライフライン企業や交通機関など、業種ごとに対応の指針を策定することを国に求める
(3) 自治体が避難所を開いたり運営したりする際の財政支援を受けられるよう災害救助法の適用対象とする

 国の作業部会とりまとめ役の主査である福和伸夫名古屋大学名誉教授は、複数出た「対応をあらかじめ統一すべきだ」という声に対し、「例えば、海水浴場を開けるべきか閉めるべきかは、ハザード(外力)の大きさなどによって対応のあり方が異なるものだ。これを行動指針として定めたり、『国に言われたから』となったりするのは望ましい方向ではないようにも思えて悩ましい。アンケートの結果も見ながら議論せざるをえないと思う」と述べた、とあります。

 今回は、都府県が国に対応の指針を示して欲しい、ということでした。
 以前、私らが2016年に行った高知県沿岸市町村を対象にした不確実な地震前兆情報への対応に関するアンケート調査では、仮に不確実な情報を活用するにしても、県からの指示を頼りにするといった傾向が見られました。

 市町村が都府県に、都府県が国に対応指針を示して欲しいと考える背景には、行政に関する多くのことが上位下達的になっている現実があると推測します。(市議会議員の経験から実感するところがあります。)
 とはいえ、上記(2) にあるように、複数の県にまたがることについて、国に対応指針を求めることについては理解します。

 一方、福和氏が言うように「ハザード(外力)の大きさなどによって対応のあり方が異なる」のも事実です。
 国は、都府県や市町村が、それぞれの事情に見合った対応指針が作れるよう、必要な情報を提供することが求められます。
 その前に、市町村は都府県にどのような情報が必要なのかをリストアップする必要があります。それを受けて都府県は国に必要な情報の提供を求める必要があると考えます。

 災害対応は第一に市町村が行います。ですから、市町村がそれぞれの事情に合わせた対応指針をつくることが理想と考えます。

2024年09月11日